自動車保険の仕組み

年齢によるリスク細分は優良ドライバーには迷惑だ

「リスク細分型自動車保険」で、保険会社がどのような資料を根拠にし、自動車保険のリスクをどう判断して料率を決めているか明らかではない。
しかし、一般的で通俗的な言い方になるが、18から20歳辺りは、免許を取ったばかりで運転技術は未熟である。それに社会的にも家族的にも責任は重くないから、怖いもの知らずでそれがハンドル捌きにも現れてくる。だから一番事故率が高くなるということだろう。
30歳を越えてだんだん加齢していけば、運転技術も経験的に習熟してくるし、精神的にも落ち着きが出て人間も温厚になる。それに家庭も出来て、仕事上にも責任ある立場につく。これが30歳半ばから40歳にかけてということで、この辺りの事故率が最も小さくなっており、リスクはかなり低く設定できる筈だ。
それも段々歳を取ってくると、筋肉の衰えや反射神経などの低下を招いたり、高齢者特有の睡眠不足が常時起こり、自覚はないのだが見ているのに見ていない状態を生む、と言われ、これらが若年者にない事故原因となる。それに体に異常が突発するのも高齢者に多い。
実際、運転中に突然暴走する事故が、よく高齢者のドライバーにみられる。現実に73歳のある男性は、小型貨物車を運転中に、突然シートの背もたれに仰向けになったまま歩道を走り、街路樹に衝突して止まった。救急車が駆けつけた時、その運転者は運転席で死んでいたという。死因は、脳溢血と診断されている。奥さんは、「これまで病気らしい病気はなかった。あの朝も元気で出掛けたのに」と嘆いていた。高齢者には、原因は異質だが若年者と変わらないくらいのリスクがある、と自動車保険の会社は考えている。
しかし、この年齢は自分では変えようがないのだから、保険会社がこのリスクを押し付けて来たら避けようがない。中にはリスクが高いとされる年齢区分でも、運転技術も精神や肉体的にも、そして安全運転に対する心掛けから見ても、事故を起こす確率の低いドライバーだって勿論多くいる。むしろそれが多数派である。そのような多くの優良ドライバーにとっては、この年齢のリスク細分は何とも迷惑な話である。またこれで、契約者間に自動車保険料の格差が大きく生じるのも問題である。もっともこれは、先に述べたように大蔵省のガイドラインで、最高と最低の自動車保険料の格差を三倍以上にするように求めている。

地域

これは、地域によって事故の発生しやすさに高低があるという統計根拠に基づいたリスク要因である。これまでにも、本土と沖縄、離れ島などでは料率が異なってい,たが、ガイドラインでは日本全国を、今のところは最大七区分に線引きしている。
その区分は、近畿、北海道、東海、北陸、関東、甲信越、中国、四国、九州(沖縄を含む)、東北となる。それぞれの地域のリスクをどのように判断して料率をどのくらいにするかは、保険会社によって違って来るところであるが、近畿、北海道、東海、関東などは事故も多くリスクが高いと判断され、四国、九州、東北などは低いと見なされるのが一般的のようである。
しかし、東京や大阪を含む関東や近畿は、他の地区に比べて免許保有者が多く、特に前者は、ある統計資料によると、第一種免許保有者は、男女合わせて全国の約40%に達する。つまり保険会社にとっては、魅力あるマーケットである。
このような地区では、事故のリスクが高くても、新規契約者の獲得には自動車保険料は安くして対応したいところである。つまり、このような場合、他のリスク要因もそうであるように特別な配慮がなされ、必ずしもそのリスクの程度とは一致しないのではないか。
このような地域区分は、次のような問題もある。それは同じ区分の中でも府県別に見ると、事故故件数にかなりの差があることである。つまり、それは事故の少ない府県のドライバーなのに、その区分にたまたま多い府県が含まれるためにリスクの高い区分にされる不利益を生むことになる。また、これはどのリスクの場合にもある不利益ではあるが、事故を起こしたことのない優良ドライバーなのに、リスクが高いとされる地域区分に車を持っていたばかりに保険料が割増になってしまう、ということも起こる。
この地域別の事故件数は、商業や工業あるいは観光などの経済活度が旺盛な地域では、地域外から入ってくる車が多くなり、それにその地域本来の車が加わって走行事数と道路などの環境とのバランスが悪化して増加してくるという面がある。言い換えれば、地域別に発生する事故というのは、それぞれの地域の特性によって交通環境が変動し、隣接した地域同士であっても大きく件数に差が生じてくることになる。
この地域別区分をリスク要因として保険料算定に供用するなら、もっと細分してその地域の特性を掴んだリスク判断が必要になってくるはずである。例えばもし、都道府県を単位として区分し、それぞれのリスクを設定するのであれば、ドライバーの納得を少しは得られるかもしれない。
なお、ガイドラインでは、地域による自動車保険料の格差は一・五倍以内とするように定めている。
次に参考までに全都道府県のうち、事故件数の多い方と少ない方のそれぞれの10位までを挙げておく。

事故件数の多い地方

{東京} 63,873 {神奈川} 60,829 {大阪} 56,473 {福岡} 49,368 {愛知} 47,867 {埼玉} 47,867 {兵庫} 37,471 {静岡} 32,378 {千葉} 31,474 {北海道} 28,153

事故件数の少ない地方

{鳥取} 2,846 {島根} 2,991 {沖縄} 3,805 {宮崎} 4,089 {福井} 4,717 {秋田} 4,786 {佐賀} 4,968 {高知} 5,380 {岩手} 5,483 {徳島} 6,173

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